すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
 侯爵が扉をノックすると、侍女が応じて室内の扉を開けた。
 大きな窓から差し込む光に包まれて、椅子に腰かける老婦人の姿が見えた。

 白銀の髪に、澄んだブルーの瞳。
 小柄な体と肌に刻まれたしわが歳月を物語っている。


 初めて会うはずなのに、私は強烈な懐かしさが胸に込み上げてきた。
 私と驚くほど似た顔立ちだったからだ。

 私以上に驚いていたのは彼女のほうだった。
 狼狽えるように目を瞠り、わずかに震えているようだ。


「母さん、彼女がレイラだ」

 侯爵が紹介すると、婦人は杖をつきながら立ち上がり、侍女に支えられながら一歩ずつ近づいてきた。
 彼女がふらついた瞬間、私は慌てて駆け寄り、手を差し出した。

 彼女はすぐに私の腕を掴み、すがるように声を震わせた。


「ああ……こんなことが、本当に……」

 澄んだ瞳から大粒の涙がこぼれ落ちる。
 彼女が膝から崩れ落ちそうになり、私は慌てて自身の体で支えた。

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