すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
「だ、大丈夫ですか? どうぞおかけになってください」
「もっと……もっとよく、顔を見せてちょうだい」
「……はい」

 私がまっすぐ見つめると、彼女は涙を流しながら私の顔や髪に触れた。

「ああ、神よ……この運命を、私はどう受け止めればいいのかしら」


 どう声をかければよいかわからず戸惑っていると、侯爵が優しく彼女に声をかけた。

「母さん、初めて会ったばかりなんだ。レイラも驚いている」

 その言葉で、婦人は少し表情を和らげ、私を見つめたまま微笑んだ。


「初めまして。あなたの祖母です」

 その一言で、ずっと張りつめていた緊張が解けて、胸の奥が熱くなった。
 まだ確たる証拠はないのに、私は涙があふれ、彼女の手を握り返して答えた。


「お祖母(ばあ)様……初めまして。お会いできて、とても嬉しいです」

 婦人はやわらかく微笑む。
 その穏やかな表情で、彼女が心から優しい人だとわかった。

< 105 / 231 >

この作品をシェア

pagetop