すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
 侯爵は少し間を置いて、今後のことを私に説明した。

「今回、君にスヴェンのことを話し、彼の遺品を見せてあげようと思う。その代わりと言ってはなんだが、君がこの家の血筋であることをきちんと証明させてもらいたい。そのために、針で親指から1滴だけ血をいただくが、構わないだろうか?」
「はい。それは大丈夫です」

 私が答えるとすぐに、婦人が反応した。

「まあ、血筋なんて調べなくていいじゃないの。こんなに似ているのだから、それだけで充分よ」
「母さん、これはハルトマン家だけの問題ではないんだ。レイラが我が国の王族の血を引いていることの証明にもなる」
「そんなこと、私はどうでもいいのです。孫娘と生きて会うことができただけで、これほど幸せなことはないわ」


 ふたりのやりとりを静かに眺めながら、私は答えた。

「調べていただいて大丈夫です。私も、真実を知りたいと思います」

 すると、侯爵と婦人はふたりとも穏やかに微笑んだ。
 そして婦人はすぐに侯爵に付け加える。

「仮にもし、そんなことはないと思うけれど……もしもレイラと血の繋がりがなくても、私はもう彼女の祖母ですからね!」
「母さんはもう……」

 侯爵が呆れたように肩をすくめる。

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