すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
 私はただ驚くばかりだった。
 そして同時に胸が熱くなる。

 生まれたときからずっと一緒にいた父からは、そんな言葉を投げかけてもらったことなどないのに。
 この家の人たちはなんて温かいのだろう。

 胸が熱くなり、自然と笑みがこぼれる。
 ふととなりを見ると、エリオスもこちらを向いて静かに微笑んでいた。

 挨拶を交わし、和やかな歓談のひとときを過ごしたあと、侯爵は私とエリオスをスヴェンの部屋へ案内してくれた。
 カレンも同行してくれて、私は自然と彼女からスヴェンの話を聞くことになった。

 スヴェンと兄のマーク、そしてカレンは、幼少の頃からお互いの家を行き来し、まるで兄妹のように育ったのだという。
 カレンは遠い日の思い出をたぐり寄せるように、少し懐かしそうに微笑んだ。


「マークは明るく社交的で、皆の中心にいるような子だったの。でも、スヴェンは正反対で……とてもおとなしくて、繊細で、優しい人だったわ」

 そう話す彼女の目には、穏やかで優しい雰囲気が宿っている。

「スヴェンは子供の頃から、毎日のように絵を描いていたの。あなたと同じ聖絵師(オーラリスト)として」

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