すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
 セリスはいつからそこにいたのだろう。
 彼女は両手を前でぎゅっと組んで、潤んだ瞳で私を見つめる。
 いつもと変わらない儚げな様子をした彼女の姿。

 私は混乱する頭をどうにか整理しながら、彼女に向かって疑問を口にした。

「セリス、いったいどういうことなの? 私はずっと家で仕事をしていたわ。それをあなたはよく知っているでしょう?」

 セリスは唇を引き結び、泣きそうな顔で俯く。
 泣きたいのはこっちなのに――

「ねえ、セリス。あなたはよく私に差し入れを持ってきてくれたわ。あなたが来たときに私が不在だったことがあったかしら?」

 セリスはやはり何も言わず、なぜかアベリオに視線を向ける。
 私は苛立ちがつのり、つい声を荒らげてしまった。

「私が遊び歩いているなんて、どうしてそんな嘘をつくの? ひどいわ。あなたは何を考えているの?」
「いやっ……やめて、レイラ」
「え?」

 セリスがアベリオの腕を掴んで震えている。
 アベリオはそっとセリスの肩を抱き、訝しげな表情を私に向けた。

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