すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
 人気の聖絵師だった彼は、若くして依頼に追われる日々を送っていたらしい。
 彼は私よりもずっと早く、13歳から活動していたようだ。

 けれど、ある日突然「旅に出たい」と言い出したという。
 家族は反対したが、彼の強い決意を覆すことはできず、最終的に背中を押したのは兄のマークだったという。


「寂しかったけれど、数年に一度は帰ってきてくれたの。そのたびに数カ月は滞在して、また旅に出る。彼はそんな暮らしをずっと続けていたの。スヴェンは子供好きでね。滞在中は毎日うちの子たちと遊んでくれて……みんな、彼が帰ってくるのを楽しみにしていたわ」

 カレンは目を細め、まるでその光景を思い浮かべているかのように語った。
 その静かな笑顔が、とても切なく感じる。
 彼の人柄を知らない私でさえ、話を聞くだけで胸が熱くなる。

 きっとスヴェンは、誰からも愛された人だったのだろう。

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