すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
 レイラがいなくなってから、私の生活は一層慌ただしくなった。
 絵を描くことに加え、連日のように開かれるパーティに招かれては、完璧に装うことを求められる。
 同じドレスを繰り返し着るなんて恥だわ。
 だからこそ衣装屋には毎日のように新しいドレスを注文しているのに、侍女が失態してどうするのよ。


 私は芸術家であり、美の担い手なの。
 身にまとうものすべてが最高でなければならない。
 美を軽んじることは、私自身を否定することに等しいのよ。

 まあ、その重みなんて侍女に理解できるわけないわよね。


「セリス、何事なの? ずいぶんと騒がしいようだけれど」

 扉が開き、母と伯父様が姿を現した。私はすぐに母へ訴える。

「お母様、新しい侍女を雇っていただけないかしら? 本当に要領の悪い子ばかりで困るの」
「まあ……でも、お金が」

 母がためらいがちに伯父様を見ると、彼はすぐさま笑顔を浮かべた。


「いいとも。高い給金を払えば優秀な侍女が集まるだろう」
「本当に? 伯父様!」
「セリスのためならいくらでも出そう」
「嬉しいわ! 大好きよ、伯父様!」

 私は両手を叩き、子供のように喜んでみせた。

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