すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
 ほんと、伯父様って簡単だわ。
 ちょっと可愛くおねだりすれば、いつだって私の言うことを聞いてくれる。

 まあ、今は伯父様が取ってきた仕事を私がこなしているのだから、より一層大事にしなきゃいけないわよね。


「お兄様はセリスに甘すぎるわ。私でさえ嫉妬してしまう」
「ははは、何を言う。お前にも充分贅沢をさせているだろう」

 母は複雑な顔で目を伏せた。
 その横顔に、淡い嫉妬と切なさが滲んでいるのがわかる。

 私はいつも気づかないふりをする。
 母が伯父様を慕い、兄妹の域を越えた関係にあることくらい、ずっと前からわかっていたから。

 けれど、私には関係ないわ。
 だって私にはアベリオがいるのだから。


「ところでセリス、依頼された絵はどこまで進んでいるんだい?」

 伯父様が穏やかな笑顔を崩さずに訊ねた。
 私は眉をひそめ、少し困った顔を作った。

< 128 / 231 >

この作品をシェア

pagetop