すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
 アベリオが優しい口調でセリスに声をかける。

「セリス、君が謝ることはないよ」
「でも、なんだかレイラを責めているみたいで心苦しいわ」
「もう、行こう。これ以上話しても意味がない」
「ええ」

 アベリオはセリスの肩を抱いたまま、静かに私に背を向けた。
 私を見ることもなく。

 今まで父にどんな理不尽な扱いを受けてきても、私には心から信頼できるふたりがいたから耐えてこられた。
 それなのに、そのふたりにも背中を向けられてしまった。

 私は、ひとりぼっちになったんだわ。

「あはは……何なの? これは」

 乾いた笑いが洩れる。
 同時に目から涙がこぼれ落ちた。

 いったい私が何をしたというのだろう?
 父の命令で仕事をこなし、食事も睡眠もろくにとれず、ただ誠実に目の前の絵と向き合ってきただけなのに。

 裏切られたのだ。
 妹のように思っていた従妹に。
 心から愛していた人に。

 信じていたのに――

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