すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
 なぜ、セリスは私が遊び歩いているなんて嘘をついたのだろう?
 そんな嘘をついてまで、アベリオと一緒になりたかったの?

 いつからアベリオを好きになっていたの?
 そんな素ぶりは一度も見せなかったのに、私が気づいていなかっただけなの?

 父も、そのことを知っているのだろうか。
 だから、私をアベリオに会わせないようにしたのかしら。

 父は昔から、セリスが可愛いと、彼女が欲しいものは何でも与えてきた。
 たとえそれが、私の大切なものであっても――

 それでも、セリスを疎ましく思うことはなかった。
 なぜなら、身近に親しく話せる友だちが私にはいなかったから。

 私にはセリスしかいなかった。
 聖絵師見習いで神殿にいたときも、貴族学院へ通っていたときも、セリスがずっとそばにいて私に笑顔を向けてくれていたから、私はどんな辛いことも乗り越えられてきた。

 セリスが私のものを欲しがっても、だいたいあげられるものは与えてあげた。
 だけど、まさか婚約者まで欲しがるとは、想像もしなかった。

 怒りというよりもショックのほうが大きい。

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