すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
 私が神殿に姿を現すと、関係者たちは一斉にざわめいた。

「あの娘はレイラではないか?」
「異国へ嫁いだと聞いたが……」
「怪我で絵が描けなくなったと父親が言っていたぞ」
「亡くなったと聞いたが、生きていたのか?」

 私にまつわる様々な噂が、どうやら好き勝手に広まっているらしい。

「レイラは奇跡の絵を描けるそうだ。我が国にとっても貴重な絵師だ」

 サムエル殿下がそう紹介すると、場が一層どよめいた。
 多くの人が驚きと称賛を口にする中、ほんのわずかに疑念の声も混じっていた。


 今この場にセリスがいないことは救いだった。
 彼女はきっと何か理由をつけて私を排除しようとするだろうから。

 私は光の絵について、仕組みや描法を丁寧に説明した。
 それが、これからの聖絵師たちの道しるべとなるかもしれないから。


 その後、殿下の勧めで孤児院を訪れると、懐かしさに胸が震えた。
 よくここに絵を描きに来ては、子供たちと笑い合った日々が懐かしく感じる。

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