すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
「恨みはありません。ただ、もうあなたに関心がないだけです。どうぞ、二度と私に関わらないでください。それだけが私の願いです」
「それが育ててやった親への言葉か? なんて薄情な人間だ。そんなふうに育てた覚えはない」
「なんとでもおっしゃってください。私は、あなたのもとへ戻ることはありません」

 これ以上、言葉を交わす意味はない。
 沈黙のあと、父は声を低くして言った。

「いいのか? このままここに居座るなら、私は裁判を起こす。相手はここにいるノルディーン公爵だ。親の許可なく娘を誘拐した罪でな」
「な、なんてことを……!」

 思わず言い返そうとした瞬間、となりで黙っていたエリオスが、おもむろに口を開いた。

「そのことですが、レイラの実の父親が見つかりました」
「……なんだと?」
「カルベラ国のハルトマン侯爵家。彼らが、レイラの血の繋がった家族です」
「カルベラ……? ハハッ……お前は異国人だったのか。どうりで髪も目の色も妙だと思った」

 胸の奥がずきりと痛む。
 この髪のせいで幼少期から私がどれほど周囲に虐められてきたか、彼は何も知らない。

< 169 / 231 >

この作品をシェア

pagetop