すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
 私は群衆をかき分けて、最前列へと躍り出た。
 エレノア元王女の目の前に。

 きっとサムエル王子が私を彼女に紹介するはずよ。
 そのときに私のこの格好を見てきっと誰にやられたのか彼は問うわ。
 私は従姉とのトラブルだと告げるの。

 この会場内で一気にレイラの信用を失墜させることができる。
 その上、カルベラ国にまでレイラの悪い噂を流すことができるわ。

 さあ、王子。早く私を――


「実は、この場にエレノア様の孫娘がいらっしゃる。ぜひ皆に紹介したい」

 そんなことどうでもいいから、早く私を紹介しなさいよ!

 苛立ちを抑えながら、王子の言葉に耳を傾けると、彼は耳を疑うようなことを言い放った。

「レイラ・ハルトマンだ」

 は……?

 王子に紹介されて階段上に登場したのは、レイラだった。
 意味がわからず、しばらく頭が真っ白になった。
 会場内もどよめきが広がっていく。

「あの子ってスレイド家の令嬢ではなかったの?」
「行方不明と聞いていたが」
「私は不正を働いて逃げたって噂を聞いたけど……」

 周囲の声など、もう私の耳には届かなかった。
 ただ、目の前の現実を受け入れることができない。


 レイラが、カルベラ国元王女の孫ですって?

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