すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
 周囲がざわつく。
 人々の視線が、同情から疑念へと変わっていくのがわかる。
 まずい、どうにかしなくちゃ。そう思ったそのとき――


「カルベラ国の元王女、エレノア・ハルトマン様のご登場です!」

 会場内に高らかな声が響いた。

 思わず息を呑む。
 でも、すぐにひらめいた。これはチャンスだわ。
 聖絵師の本場のカルベラ国と繋がりを持てば、私はもっと輝ける。

 第3王子殿下も私を認めているし、王子の伝手で王族との縁を築けるかもしれない。
 そうなれば、縁談の話なんていくらでも舞い込んでくる。
 アベリオなんて、もう用済みよ。

 ちらりとアベリオを見ると、彼は真顔のまま冷たい目で私を見ていた。

 何よ、その目。
 全部私のせいだって言いたいの? ふざけないで。


 パーティ会場の赤い絨毯が敷かれた階段上に、ドレスをまとった老齢の女が姿を現した。
 その瞬間、会場の空気が一変した。

「まあ、あれがエレノア元王女殿下なの?」
「お美しい。とてもご高齢には見えないわ」
「立ち居振る舞いがまるで現役の王女のようね」

 たしかに気品に満ちていて、少しも隙がない。
 でも、怖くないわ。
 私はこの国で一番の聖絵師だもの。

 レイラが戻ってきても、あの子は絵が描ける手じゃないから、今さらライバルにもならないわね。

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