すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
 会場内は私への称賛と疑念を持つ者の声が入り混じっていた。
 サムエル王子がそっと私に声をかける。

「レイラ。光の絵を皆に披露できるだろうか?」
「はい」

 私は冷静に返事をした。


 扉を押し開き、バルコニーへと歩み出る。
 夜風がさっと頬を撫でた。
 薄い雲の向こうに月が柔らかい光を落としている。
 会場内にいた人々も次々と集まり、バルコニーの下の庭園から見上げる者たちもいた。
 無数の視線を感じながら、私は月明かりの空を仰ぐ。

 ちょうど雲の切れ間から、くっきりと明るく月が現れた。

 これほど多くの人の前で絵を描くのは初めてだ。
 胸の鼓動が速まるのを感じる。

 そのとき、すぐそばからエリオスの声がした。

「俺がそばにいる。何も心配しなくていい」
「ええ。ありがとう」


 手を掲げる。
 その瞬間、指先から淡い光が溢れ出し、夜空にいくつもの線を描いた。
 光の粒が風に舞い、やがて線と線が繋がっていく。
 見上げる人々のあいだから、感嘆の息が漏れた。

 私は手を止めず、心に浮かぶ情景を夜空へと刻んでいく。
 それは、誰の目にもわかるほど繊細で、どこか切ない光景だった。

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