すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
「レイラ様、少しお休みをされませんか? 私たちがここにおりますので」

 サイラスさんが静かに声をかけてくれた。
 だけど私はいつものように淡々と同じ返答を繰り返した。

「ここにいたいんです。エリオスのそばに」

 眠れるはずがない。
 ひとりになったら、不安に押し潰されてしまう。

「せめて、お食事をお召し上がりください。軽食をご用意いたしました」

 サイラスさんの言葉に促され、使用人たちがそっとテーブルにトレイを置いた。
 パンとスープとフルーツという軽いものだけど、それでも今の私には十分すぎるほどだった。

「ありがとう……いただくわ」

 食欲なんてなかった。
 けれど、倒れてしまえばエリオスのそばにいられなくなる。
 それだけは嫌で、どうにかスプーンを口へ運ぶ。


 そのあとも、サイラスさんや使用人たちが交代で様子を見に来てくれた。
 医師が診察に訪れることもあった。
 けれど深夜になると、部屋には私とエリオス、ふたりだけになる。

 それでも、彼はずっと動かない。
 何度呼びかけてもまぶたは閉じたままで、返事もなく、かすかな動きもなかった。

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