すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
「とりあえず塗り薬を出しておきますが、効果はほとんど期待できません」
「なんてことだ。仕事はどうするんだ?」
「伯爵、そんなことよりも、これは違法薬物です。このことが世間に知れたら……」
「何だと? なぜそんなものがうちに……」
「私は何も見なかったことにしますゆえ、処分されたほうがよろしいかと」
「誰にも言うなよ」
「承知しております。それに、違法薬物をお持ちの貴族はそれほどめずらしくもないので」

 医師はそう言い残して部屋を出ていった。
 使用人たちも、手当てを済ませるとそそくさと立ち去る。

 父とふたりきりになった私は、震える声で告げた。


「セリスだわ……だって、昨日私の部屋に入ったのは、セリスだけだもの」

 すると、父は怒りに満ちた表情で私を睨んだ。

「黙れ。お前は自分の罪をセリスのせいにするのか!」
「違います。本当に……」
「卑怯な性格は母親譲りだな。お前には心底見損なった。お前はもう、この家には必要ない」

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