すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
「……お父様」
「いいか? このことは誰にも言うな。この薬物のことが世間に知られたらお前が捕まるのだからな」
「そんなっ……私は何も知りません。お父様……」
「うるさい! 伯爵家の恥さらしめ!」

 父の突き放すような声が、私の胸を深く貫く。
 涙を流す私には目もくれず、父は勢いよく扉を閉めて出ていった。


 いったい何が起こったのか、頭が混乱して呼吸が乱れた。
 けれど、たった一つわかることがある。

 父にとって私はただ利用できるだけの駒にすぎなかったのだと。
 役に立たない駒は捨てて、新しい駒を手に入れればいいだけ。


 セリスが、私の代わりに絵を描いている。
 だから、父はもう私のことなどどうでもいいのだ。

 利用価値のなくなった私は捨てられる。
 恐れていたことが、ついに現実となったのだ。


 その後、私は父より年上のベルン男爵に嫁がされることになった。

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