すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
「昔、奇跡の絵を描く人に出会ったことがある。俺は子供の頃に毒物によって視力を奪われてしまったが、絶望していたときに、君のような絵を描く人と出会ったんだ。おかげで今の俺がある。ところが、その者は亡くなってしまい、二度とこのような絵を見ることはできないと思っていた。しかし、まさか君と出会えるとは……天の導きだろうか」

 彼の言葉に胸が締めつけられる。
 切なさと喜びが混じった複雑な感情を抱き、息を詰まらせる。


「そんなふうに言っていただけて、本当に嬉しいです。正直、怪我のせいで生きる気力を失っていたところでした。だけど、もう少し頑張れそうです」

 どうやって生きていくかなんて、今はまだ考えられない。
 それでも生きるためなら下働きでも何でもして生きていくしかない。


「もう筆を握ることはできないけれど、別の仕事を見つけて頑張ろうと思います」

 心からそう思えたのは、彼と出会えたからかもしれない。
 それこそ彼の言う天の導きなら、これほどありがたいことはなかった。

 まだ、天は私を見放していないのね。

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