すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
 でもね、年齢が上がっていくうちに、歳の差なんて感じなくなっていった。
 それなのに、あなたは私を大きく引き離して、品評会で大人に混じってトップ10以内の順位になった。

 一方、私は品評会に出展することもできないくらいの実力だった。
 子供の中ではトップレベルだったけど、あなたを見ていると自分が情けなくなったわ。


 どうして同じ時期に始めたのに、あなたとこんなに差がついてしまったのか。
 納得できなくて、あなたが何か不正をしているのではないかと思ったわ。
 調べてみたけれど、不審な点はなくて、がっかりした。


 やがて、あなたに仕事の依頼が来るようになって焦ったわ。
 私は品評会にようやく出せるようになったのに、順位は30位以下。
 一方のあなたはすでに1位になっていた。

 何かが間違っていると思ったの。
 あなただけがこんなにいい思いをするなんて、許せないわ。

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