すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
 でもね、私はお母様と伯父様とみんなで食事をするときが一番心が穏やかになれたの。
 だって、伯父様は実の娘のあなたを嫌ってて、私を溺愛してくれるんだもの。
 外では凛とした姿勢で堂々と振る舞うあなたが、家庭内では無言で虚ろな表情をしているのが、滑稽でたまらなかった。
 それだけが、私の自尊心を満たしてくれた。


 やがて、あなたは伯父様が取ってくる仕事の依頼が多すぎて学校を辞めたわ。
 おかげで私は学校で華になれたの。
 そのことにも感謝している。
 だって、アベリオが私だけを見てくれると思ったから。

 アベリオと出会ったのも、あなたと一緒にいたときだったわね。
 私はアベリオに一目惚れした。
 絶対に彼のお嫁さんになりたいと思ったの。


 それなのに、アベリオはある日こう言ったの。

「君に報告があるんだ。実は、僕はレイラに縁談を申し込んだ」

 驚愕を通り越して絶句したわ。

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