すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
 晴れた日は、執務のあいだに俺はよく庭園を散歩する。
 その日も、サイラスとともに庭を歩いていた。
 心地よい風とともに察したのはレイラの気配だった。

「レイラが近くにいるのか?」
「ベンチに座っておられます。空を眺めていらっしゃいますね」
「彼女も散歩しているのだろうか。少し話でも……」
「エリオス様、レイラ様は泣いていらっしゃいます」
「何……?」


 レイラは最近よく笑顔を見せてくれると侍女たちが言っていたが、こうしてひとりになって泣いていたのだろうか。
 声をかけていいものか迷ったが、意を決して彼女のそばへ寄った。
 すると、彼女のほうから声をかけられた。


「エリオス……お散歩かしら?」
「ああ。執務のあいだに気分転換をかねてな。君は?」
「あ……私は」

 彼女は言葉に詰まった。
 俺はサイラスに声をかけて、彼女とふたりきりにしてもらうことにした。

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