すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
 ふと、先ほどの彼の説明を思い出し、疑問を口にする。


「なぜ、スヴェンは愛した人と別れることになったのでしょうね?」
「そのことは私にもわからない。ただ、わが国とこの国は一時的に断交していた。レイラの年齢からすると、ちょうどその時期に当たる」
「なるほど」

 許されない恋だったということか。
 今なら何ら問題ないというのに。


「弟は自身がカルベラ人だと隠してこの国に入り込んだのだろう。彼は国境に関係なく、自分の力で人々の助けになりたがった。しかし、自身がカルベラ王族の血を引いていることは、決して知られてはいけなかった。おそらく恋人にもその事実を話していなかっただろうな」


 なんと物悲しく切ないことだ。
 スヴェンはいつも穏やかに話してくれていたが、どこか悲壮感の漂う空気をまとっていた。
 それが彼の特徴だと思っていたが、背景を知ると、胸が締めつけられるものだ。

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