すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
 エリオスの手が私の髪に触れた。
 彼の指先が髪をすくように撫でていく感触に、思わず鼓動が高鳴った。

「君は月明かりのように美しい白銀の髪をしていると聞いた。目も眩むほど綺麗なのだろうな」
「そんなっ……買いかぶりすぎよ」
「たった一つだけ願いが叶うなら、君の姿を見てみたい」
「エリオス……」

 思いがけない言葉に頬が熱くなる。
 恥ずかしい気持ちと、少しの嬉しさが混ざった感覚だ。

「だが、姿が見えずとも、君の心は美しい。それだけで、俺は君に惹かれている」
「え? それは……」

 戸惑いのあまり言葉を失うと、彼はそっと私から離れた。
 そして、急に我に返ったように私から体を背ける。

「明日は早い。少しでも長く休んだほうがいいな」
「ええ、そうするわ。ありがとう」
「もし眠れないなら……」

 言葉が途切れ、エリオスは小さく首を横に振った。

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