皇帝になった幼馴染みの溺愛が止まりません
「アンヌ……」

棺の前で、今にも崩れそうな瞳をしたヴィクトル。

駆け寄って抱きしめてあげたい衝動に駆られた、その時──。

「皇太子殿を名前で呼ぶなど、不敬だ!」

「なんて不謹慎な娘だ!」

ざわめきと共に、痛いほどの視線が私に突き刺さった。

胸が締めつけられ、息が苦しくなる。

気づけば私は列から飛び出していた。

抑えきれない感情のまま、人目を避けて駆け出してしまったのだ。

「アンヌ!」

荒い息と共に、私の腕を掴んだのはアリスティドだった。

彼も必死に追ってきたのだろう、額には汗が滲んでいる。

「どうしたんだよ、急に……あんなこと叫ぶなんて。」

「だって……周りの人がヴィクトルを頼りないって、バカにしたの!あんなに頑張っているのに……!」

悔しさで声が震え、再び涙が溢れそうになる。

アリスティドは黙って私を見つめ、その手に込める力を強めた。
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