皇帝になった幼馴染みの溺愛が止まりません
「アンヌ。それは違う。俺たちが一番知っているだろ。ヴィクトル皇太子は、勇敢で賢くて──」

「皇太子なんて、呼ばないで!」

堰を切ったように声が震えた。

あの頃のままのヴィックが、どんどん遠くへ行ってしまう。

「ヴィックは……いつまでもヴィックよ。私たちのヴィックなんだわ!」

必死に叫んでも、アリスティドの瞳は静かに揺れていた。

「……アンヌ。皇帝が亡くなった今、あいつはもう俺たちのヴィックじゃない。次の皇帝──ヴィクトル皇太子なんだ。」

突きつけられた現実に、私はその場に泣き崩れた。

声にならない嗚咽が、胸の奥から溢れて止まらなかった。

「アンヌ。今一番辛いのは、他でもないヴィクトル皇太子だ。だから俺たちは皇太子の味方でいなきゃならない。それは変わらないだろ?」

変わらないものと、変わっていくもの。

その時の私は、変化に追いつくことができなかった。

遠い日の記憶──三人で笑い合った日々が、もう戻らない気がして仕方なかったのだ。
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