皇帝になった幼馴染みの溺愛が止まりません
「彼女は小さい頃からの友人だ。そんな存在、今となっては数えるほどしかいない。だから……アンヌ。君だけは、これまで通り“ヴィック”と呼んでほしい。」

優しい声音に、自然と表情が和らぐ。

皇帝になっても、彼は変わらない。私の知っているヴィックのままだ。

「また皇帝陛下は、アンヌを甘やかして。」

横からイーヴが小言を挟むと、ヴィックは声を立てて笑った。

そのやり取りを見ているのも、私は嫌いじゃなかった。

けれど、イーヴが傍らにいる以上、あまり長居はできない。

「それじゃあ、ヴィック。私はこれで。」

頭を下げ、部屋を出ようとした、その瞬間──。

「……もう少しいてくれ、アンヌ。」

腕を掴まれ、振り返る。

いつも堂々としている彼の顔に、わずかな寂しさが浮かんでいた。

その瞳に捕らえられ、胸が締めつけられる。

皇帝という孤独な立場に立ちながら、それでも彼は、私だけを必要としてくれている──。
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