皇帝になった幼馴染みの溺愛が止まりません
「ヴィック……」

「それなら、今まで届かなかった場所も、きっと届くようになるだろう?」

その言葉に胸が高鳴る。

ヴィックの優しさに触れると、どうしてこんなにも心が幸せに満たされるのだろう。

「アンヌ……」

気づけば、彼の顔がすぐ目の前にあった。

近づいてくる距離に、心臓が跳ねる。

「……嫌っ!」

思わず突き飛ばすようにしてしまい、ヴィックの体がソファに傾いた。

自分の行動に驚き、慌てて声を上げる。

「ご、ごめんなさい!」

ヴィックはゆっくりと体を起こし、首を横に振った。

「いや……僕こそごめん。事を急ぎすぎた。」

その言葉は、いつもの堂々とした彼らしくなく、どこか切なく響いた。

皇帝ではなく、一人の男としての弱さを見てしまった気がして──胸が痛む。

居たたまれなくなって、私は立ち上がり、勢いのまま部屋を飛び出していた。
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