皇帝になった幼馴染みの溺愛が止まりません
部屋を飛び出し、階段を降りようとしたその時。

「──アンヌ。」

低い声に呼び止められ、振り返るとイーヴが立っていた。

冷たい眼差しに射抜かれ、思わず足を止める。

「話がある。こちらへ。」

言われるままに後を追い、人気のない廊下の片隅に連れ出された。

静まり返った空間に、彼の声だけが落ちる。

「あなたは、ご自分の身分を分かっていないようだ。」

「……すみません。」

てっきり、先ほどの“皇帝陛下と呼べ”という小言の続きかと思い、素直に謝る。

だがイーヴの瞳は鋭さを増していた。

「これからは──皇帝陛下のご意向に沿うように。」

「……えっ?」

耳に届いたその言葉に、私は思わず瞬きを繰り返した。

叱責ではなく、命令。

しかも、ただの従者の立場で言えるはずのない意味を含んでいる。

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