皇帝になった幼馴染みの溺愛が止まりません
「アンヌ!」

背後からイーヴの声が響く。

──やめて。

私とヴィックの仲を、これ以上詮索しないで……!

その時だった。

「イーヴ! アンヌに何を言った!」

怒気を孕んだ声に振り向けば、ヴィックが険しい表情で立っていた。

皇帝としての威厳ではなく、一人の男としての怒りに満ちた瞳。

「僕の求めに応じるように、だと? 僕はアンヌに、そんな思いは絶対にさせたくない!」

「何を仰いますか。皇帝陛下の愛を受け入れることは、この国の女にとって最高の名誉。ましてアンヌは庭師でありながら、陛下と気心知れた仲。愛妾にこそふさわしいではありませんか」

「イーヴ!」

鋭い声が廊下に響き渡る。

「二度とそんなことを、僕の前で口にするな!」

普段は穏やかなヴィックが、ここまで強い怒りを露わにする姿など見たことがなかった。

胸の奥が熱くなる。

──それは、皇帝としてではなく、幼馴染として、そして私を想う一人の男性としての言葉だったから。
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