皇帝になった幼馴染みの溺愛が止まりません
ヴィックは私の手からバラを受け取ると、そっと花弁に触れた。

「今日もありがとう、アンヌ。」

「うん。」

優しい笑顔が向けられる。その一瞬で胸がいっぱいになる。

──これだけで十分。そう思えた。

「少し待っていて。花を生けるから。」

彼の背中を見送りながら、私はそっとソファに腰を下ろした。

ふと視線が前のテーブルに向かう。

そこに置かれた分厚い本のようなものが、なぜか気にかかる。

「さあ、生け終わった。」

振り返ったヴィックが、今度は私の隣に腰を下ろす。

距離が近づき、鼓動が早まった。

「アンヌ……話があるんだ。」

「話?」

「悪い話と、いい話。どちらから聞きたい?」

静かな声が落とされた瞬間、胸の奥に緊張が走った。

いつもの穏やかな笑顔の裏に隠された“何か”があると悟り、息を呑む。
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