皇帝になった幼馴染みの溺愛が止まりません
「……両方?」

思わず声が震えた。

いい話も悪い話も、一度に受け止められる自信なんてない。胸がざわめき、手の中が冷たくなる。

「最初に悪い話をした方がいい?」

ヴィックが私の顔をのぞき込む。

その瞳に映る自分が、弱々しく見えた。

──“皇帝閣下の意に添うように”──

イーヴさんの言葉がよみがえる。

あれはただの小言じゃなかった。私の胸に深く突き刺さり、いまだ抜けない棘のようだ。

「……うん。悪い話から聞く。」

小さく頷くと、ヴィックの表情が引き締まった。

「解った。アンヌには、隠し事はしたくない。だから……全部話すよ。」

つい先ほど、「君には隠し事はしない」と言ってくれたばかりだ。

それでも今、改めてそう言う彼の声に、私は強く息を呑んだ。

──どんな言葉が続くのだろう。

胸の鼓動が早くなり、次の瞬間を待つのが怖くもあり、切なくもあった。
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