皇帝になった幼馴染みの溺愛が止まりません
私もできるだけ、ヴィックの言葉を信じようと決めていた。

けれど、彼の口から出たのは思いもしない言葉だった。

「あの……実は、僕に結婚の話が来たんだ。」

「えっ……!?」

耳を疑った。

まだ皇帝になって間もないのに──もうそんな話が?

「結婚は二十歳になってからだけど、今のうちに婚約者を決めておくように、って……」

胸の奥がぎゅっと締めつけられ、世界が一瞬で暗くなる。

ヴィックが結婚する。

私の知らない誰かと、皇帝妃として並び立つ。

頭では理解できても、心が追いつかない。

ただその事実だけが鋭く突き刺さり、息が苦しくなる。

「アンヌ!」

呼ばれる声が遠くで響く。

でも私は応えられなかった。

暗闇に呑み込まれるように、意識がふっと遠のいていく──。
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