皇帝になった幼馴染みの溺愛が止まりません
ティドが問いただすと、ヴィックは黙ってテーブルの上に置かれていた薄い本を手に取った。

彼が差し出すまま、ティドがそれを開けば──そこには美しく微笑む姫の肖像があった。

「隣国の……ナタリー姫だ。」

その名を聞いた瞬間、胸が痛みで押し潰されそうになる。

なんて綺麗な人だろう。

私なんかが敵うはずもない。

ああ……ヴィックは、こんな人と結婚するんだ。

「解かったよ、ヴィック。」

力なく微笑み、私はソファから立ち上がった。

「本当に……お綺麗なお姫様だね。おめでとう、ヴィック。」

背を向けようとした時、伸ばされたヴィックの手が私を追った。

けれど、その手をティドが鋭く遮る。

「……俺は皇帝陛下に逆らう気なんてない。だが、この話だけは──違う!」

静かな部屋に、怒りを含んだ声が響き渡った。

皇帝に向かってなお引かぬティドの姿に、私の胸はさらに大きく揺さぶられる。
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