皇帝になった幼馴染みの溺愛が止まりません
ティドの体は、怒りに震えていた。

「皇帝陛下……あんたがアンヌに惚れているのは、とうの昔から知っていた。」

「えっ……」

私は思わず口元を押さえた。

互いに胸に秘めていた想いが、今ここで暴かれるなんて──。

「だが、隣国のお姫様と結婚だと? それじゃ話が違うだろう!」

「ティド、落ち着け。僕が言いたいのは……」

「落ち着いたところで何も変わらない! どうせアンヌを愛妾にする気なんだろう!」

胸の奥を鋭い刃で突かれたように、呼吸が止まった。

愛妾──またその言葉。

「そんなことは絶対にない! 僕の話を、最後まで聞いてくれ!」

必死に叫ぶヴィック。

だがティドは耳を貸さなかった。

「妾になんて……させてたまるか!」

そう吐き捨て、彼は私の腕を掴む。

「ティド!」

「アンヌを連れて行かないでくれ!」

ヴィックの声が必死に追いすがる。

その切実な響きに、私の心は千々に乱れていった。
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