皇帝になった幼馴染みの溺愛が止まりません
ティドは伸ばされたヴィックの手を荒々しく払いのけた。

その瞬間、廊下の向こうから駆けつけてきたのはイーヴだった。

「アリスティド! 皇帝陛下に向かって、なんて無礼を──!」

だがティドは怒りを押し殺すことなく叫ぶ。

「今、俺が話してるのは“皇帝陛下”じゃない! 幼馴染みのヴィックにだ!」

次の瞬間、鋭い拳が振り抜かれ、ヴィックの頬を打ち据えた。

「きゃああっ!」

「なんてことを!」

私とイーヴの悲鳴が重なる。

宮殿の空気を切り裂くような衝撃に、足がすくんだ。

「アリスティド! こんなことをして無事でいられると思うな!」

「うるさい! 何とでもしやがれ!」

ティドの声は震え、しかし目は真っ直ぐにヴィックを睨みつけていた。

「……おまえを、見損なったよ。」

その言葉は刃のように鋭く、私の胸を切り裂いた。

──幼い頃の絆が、音を立てて崩れていく。
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