皇帝になった幼馴染みの溺愛が止まりません
ティドは私の手を強く握り、そのまま階段を駆け下りた。

背後から「アリスティド!!」と呼ぶ声が響く。

けれど──「よせ、イーヴ。ティドは無罪だ。」

低く響くヴィックの声が追ってきて、私は涙をこらえきれなかった。

「アンヌ……」

隣を走るティドが、心配そうに顔を覗き込む。

「ねえ……どうしてこんなことになっちゃったの? どうしてヴィックとティドは、仲良くできないの?」

声が嗚咽に変わり、視界が滲む。

幼い頃の、三人で笑い合っていた日々が頭をよぎり、胸を締めつけた。

「明日からは、バラは俺が届ける。アンヌはもう皇帝陛下に近づくな。」

ティドはそう言い切り、震える肩を抱き寄せてくれた。

その腕は温かくて、慰めをくれるのに──。

どうして?
どうして二人は喧嘩ばかりするの?

私が一番望んでいるのは、ただ三人で笑っていられることなのに。

涙は止まらず、悲しみだけが胸を支配していった。
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