皇帝になった幼馴染みの溺愛が止まりません
しばらくして、ヴィックの宮殿に数台の馬車が到着した。

それは──彼のお見合い相手、隣国のナタリー姫を乗せたものだった。

「初めまして、皇帝陛下。隣国第一王女、ナタリー・ジュリー・マニャールでございます。」

優雅に裾を捌き、深く一礼する。

艶やかな髪が光を受けて揺れ、宝石のように煌めいた。

豪奢な衣装を纏い、凛とした立ち姿は、誰が見ても完璧だった。

──皇妃になるのに、これ以上ふさわしい人はいない。

胸が痛む。

ティドに「近づくな」と言われてもなお、私は庭師として足を運んでいた。

けれど……今、目の前に並んだ自分と姫との違いが、残酷なほど突きつけられる。

「……皇帝陛下。本日も、庭から摘んだバラの花をお持ちしました。」

声が震える。

どうして、よりによってこのタイミングで来てしまったのだろう。

完璧な姫の姿の横で、ただの庭師の私はあまりにも場違いで──小さな存在に思えてならなかった。
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