皇帝になった幼馴染みの溺愛が止まりません
「私は……この宮殿の庭師をしています。」

「まあ、庭師!」

ナタリー姫は、扇を口元に添えて優雅に笑った。

「皇帝陛下は本当にお優しいのね。一介の庭師を、宮殿の、しかもプライベートルームにまで入れるなんて。」

胸の奥が、ズキリと痛む。

──やっぱり、私がここにいるのはおかしいことなの?

心がひどくざわつき、居場所を失ったように感じた。

「でも、こうして庶民とお話できるのは素敵なことですわね。私も皇帝陛下を見習わなくては。」

その声音には、もう自分が皇妃になる未来を疑わない確信が込められていた。

「では、失礼いたします。」

小さく頭を下げ、私は部屋を後にした。

「ああ……」

ヴィックの声が追ってくる。

けれど、それは引き留める言葉ではなかった。

──きっと、彼はナタリー姫と結婚するのだ。

その現実に胸が締めつけられ、視界がにじむ。

翌日、ナタリー姫は優雅に微笑んだまま、自国へと帰っていった。
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