皇帝になった幼馴染みの溺愛が止まりません
──断ってくれたんだ。

あの完璧に美しいナタリー姫を。

「私は……お姫様なんかじゃない。ただの庭師だよ。」

絞り出すように告げると、ヴィックは首を振った。

「僕にとっては、アンヌがただ一人のお姫様なんだ。」

涙が溢れて止まらない。

その涙を拭うように、ヴィックは私の左手を取り、そっと薬指にはめてくれた。

眩い光を放つ指輪。

代々皇妃に贈られてきた大切な宝を、今、私に。

「アンヌ・マリー・フェレール嬢。僕と結婚してください。誰が何と言おうと、僕が君を幸せにする。」

「ヴィック……」

真剣な眼差しに心が震えた。

求めていた答えがそこにあるのに、胸はまだ揺れていた。

「返事は?」

「……時間を頂戴、ヴィック。」

泣きながらも必死に笑顔を作ると、彼は優しく微笑んだ。

「ああ、いいよ。僕の気持ちは、いつになっても変わらない。」

その言葉に、胸の奥が温かく満たされていった。
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