皇帝になった幼馴染みの溺愛が止まりません
幸せな余韻に包まれていたのも束の間──帰り際、私はイーヴに呼び止められた。

やはり、あのプロポーズも扉の外で聞いていたに違いない。

「皇帝陛下は……近くにいらっしゃらないようですね。」

彼は辺りを鋭く見回し、声を低く落とした。

「いいですか、アンヌ。今回のこと、解っていますね。」

「何を、ですか?」

「一介の庶民が、皇帝陛下の妃になれるはずがない。あのプロポーズは、きっぱりお断りするのです。」

胸の奥に、もやもやとした感情が湧き上がる。

「……イーヴさん。以前あなた、私に言いましたよね? “皇帝陛下の意に添うように”って。」

「それは……妾としてならば、という話です。妃ではありません。」

冷ややかな声。

妾なら許すが、妃はあり得ない──その二重基準が、私をさらに苦しめた。

喉の奥が詰まり、言葉が出ない。

胸の奥で渦巻く悔しさと悲しさに、ただ拳を握りしめることしかできなかった。
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