皇帝になった幼馴染みの溺愛が止まりません
「じゃあ、私、仕事に戻るね。」

「……ああ。」

ティドに軽く手を振り、私はおじいちゃんのいる場所へと戻った。

胸の中に、今日という日が押し寄せてきて、深いため息が漏れる。

「アンヌ、今日はずいぶん疲れているようだね。」

「うん……少しね。」

脚立に昇り、枝に手を伸ばしたとき──

「もういいよ、アンヌ。今日はお開きにしよう。」

「えっ?」

「ごらん。もう陽が沈みかけている。」

おじいちゃんの指先を追うと、木々の隙間から沈みゆく太陽が見えた。

西の空は茜色に染まり、葉の影が長く地面に落ちていた。

「そっか……もうそんな時間になっていたんだね。」

心のどこかで張り詰めていたものが、少しだけ緩む。

「気にすることはない。さあ、帰ろう。」

おじいちゃんの声に導かれるように脚立を降りると、夕風が頬を撫でた。

忙しない一日が終わっていくのを、静かに感じていた。
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