皇帝になった幼馴染みの溺愛が止まりません
──ヴィックは、私以上に身分違いの恋に苦しんでいたの?

「でも、答えはいつも変わらなかった。」

ヴィックは優しく、けれど揺るぎない声で言った。

「僕が守る。一生かけて、アンヌを幸せにする。それだけだった。」

「ヴィック……」

「アンヌだけなんだ。こんな気持ちになったのは。僕には、アンヌしかいないんだよ。」

抱き締められた余韻がまだ腕に残っている。

愛して、愛されている──こんなにも確かな気持ちがあるのに。

それでも私は、この人と一緒になることが許されない。

──お母さん。どうして私をヴィックの幼馴染みにしたの?

出会わなければ、こんな悲しい想いを抱かずに済んだのに……。

そのときだった。

カチャリと扉が開き、重苦しい空気を切り裂く足音が響いた。

「……失礼いたします。」

冷ややかな声。

イーヴが、まるで運命を引き戻すように部屋へと入ってきた。
< 63 / 100 >

この作品をシェア

pagetop