皇帝になった幼馴染みの溺愛が止まりません
「なぜです?」

「だって……今まで、こんな格好でヴィックに会ったことなんてないもの。」

思わず口を尖らせると、イーヴとカトリーヌは顔を見合わせ、うーんと唸った。

「まあ、可笑しいかどうかは──皇帝閣下にお尋ねするのが一番ですな。」

「……はい。」

半ば丸め込まれる形で、私はヴィックの部屋へと通された。

「皇帝陛下。アンヌ・マリー嬢がお見えでございます。」

「ようやく来たか。」

立ち上がったヴィックが、私の姿を見た瞬間──動きを止めた。

まるで息をするのも忘れたように、じっと私を見つめている。

「……やっぱり、変だよね?」

不安になって問いかけると、ヴィックは首を振った。

「いや。すごく似合っている……とても、綺麗だ。」

その一言に、頬が一気に熱くなる。

視線を逸らしても、心臓の鼓動は早まるばかり。

誉め言葉がこんなにも甘く響くなんて──思ってもみなかった。
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