皇帝になった幼馴染みの溺愛が止まりません
ヴィックの部屋のドアが閉まるまで、私は必死に手を振り続けた。

その姿を胸に焼き付け、ようやく歩き出す。

「では行きましょうか、アンヌ嬢。」

イーヴの一声に、私は静かに頷いた。

廊下を抜け、階段へ辿り着く。

その時、イーヴが立ち止まり、冷ややかに告げた。

「今日は、上に昇りましょう。」

「上に……? まだ部屋があるのですか?」

「ええ。」

短い返事に、不安が胸の奥で膨らむ。

けれど、逆らうことはできない。

「分かりました……」

重い足取りで、一段一段を昇る。

やがて辿り着いた先に広がっていたのは、今までの華やかな宮殿とはまるで別世界だった。

冷たい土壁が、無機質に並んでいる。

しんと静まり返り、まるで時間さえ止まっているような空間。

胸がきゅっと縮む。

ここで、一体なにが始まるの……?
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