皇帝になった幼馴染みの溺愛が止まりません
「イーヴさん……?」

必死で扉に縋りついた私に、冷たい声が返ってきた。

「皇帝陛下は、あなたに溺れている。このままでは政治を誤る恐れがある。──だからあなたには、ここで消えてもらう。」

「そんな……!」

「鍵は私が持っている。あなたの命も、この私次第だ。」

無情な言葉を残し、イーヴの足音が遠ざかっていく。

やがて静寂が訪れ、暗闇と冷気だけが私を包んだ。

「ヴィック!」

喉が裂けそうなほど名前を呼んでも、分厚い扉に吸い込まれていく。

届かない。彼には届かない。

力が抜け、膝が床に落ちた。

冷たい石が、まるで運命そのもののように重くのしかかる。

──これは罰なのだろうか。

庶民の身でありながら、皇帝の妃になろうと夢見た報い。

でも……違うはず。

だってイーヴさんだって言った。「努力次第だ」と。

なのに、どうして?

胸に滲むのは絶望と、ただひとり──ヴィックを想う気持ちだけだった。
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