皇帝になった幼馴染みの溺愛が止まりません
「アンヌ! どこにいるんだ! 教えてくれ!」

必死の叫びが胸を震わせる。

「皇帝陛下、落ち着いて下さい。」

イーヴの冷たい声が、それを押し殺そうとする。

──行かないで。ここにいるのに!

私は震える手を伸ばし、床に転がっていた石を掴んだ。

そして、ありったけの力を込めて扉へ投げつける。

ガァンッ!

重い音が廊下に響いた。

指先から力が抜け、もう二度と投げることはできない。

でも……どうか、この一度きりの音で気づいて。

「……アンヌ?」

扉の向こうから、ヴィックの声。

胸に熱いものが込み上げる。

「アンヌ! そこにいるのか!」

──そうよ、ここにいる。ずっと……待ってた。

涙が頬を伝い落ちる中、私は震える唇で、彼の名をもう一度呼んだ。
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