皇帝になった幼馴染みの溺愛が止まりません
気づけば、私の目から勝手に涙が零れていた。

今までの楽しかった日々──三人で駆け巡った思い出が、一瞬で色褪せ、崩れ落ちていく気がした。

「もう……ヴィックとは一緒にいられないのね。」

胸がきゅっと締めつけられて、呼吸すら苦しい。

好きなのに、どうしても届かない。

幼い頃から抱いてきた想いが、残酷な現実の前に散っていく。

その時だった。

頬を伝う涙を止めるように、突然、温かな感触が唇を塞いだ。

「……ティド?」

驚いて見上げた先で、アリスティドの瞳が真剣に揺れていた。

「もう泣くな。俺がいる。俺がアンヌの側に、ずっといるから。」

そう言って彼は強く私を抱きしめる。

その腕の力に包まれながら、私は悟った。

──あの日、私の初恋は終わったのだ。
< 9 / 100 >

この作品をシェア

pagetop