皇帝になった幼馴染みの溺愛が止まりません
そんな時だった。イーヴさんの攻撃は、とうとう形を変えて激化した。

夜半、屋敷が静まり返る頃。眠りの浅い私は、かすかな軋みを耳にした。

――ドアが開く音。心臓が跳ねる。誰かが忍び寄ってくる。

かすかに目を細めると、月明かりに浮かぶ影。

剣を構え、こちらへ腕を振りかぶろうとしていた。

「きゃあああ!」

叫ぶより早く、体が勝手に反応した。

ベッドから転がり落ちるように床へ身を投げる。

背中を打ちつけた痛みも感じる間もなく、必死に立ち上がった。

次の瞬間――ぐさり、と鋭い音。

私の寝ていた場所に、冷たい剣先が深々と突き立っていた。

シーツが裂け、布団がずるりと崩れ落ちる。

背筋に氷の刃を当てられたような戦慄が走る。

もし一瞬でも遅れていたら、胸を貫かれていたのは間違いない。

呼吸が乱れ、喉の奥がからからに乾く。

私は震える手で口を押さえながら、ただ必死に後ずさった。

――命を狙われている。この現実が、全身を容赦なく締め上げていった。
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