皇帝になった幼馴染みの溺愛が止まりません
「そこまでだ! イーヴ!」

鋭い声と同時に、イーヴさんの手から剣が床に落ちた。甲高い音が部屋に響き渡る。

「こ、皇帝陛下! どうしてここに……!」

驚愕に目を見開くイーヴさんに、ヴィックは冷徹な声で告げた。

「アンヌの部屋を見張らせていたのだ。まさか、お前自身が彼女に剣を向けるとはな!」

瞬く間にヴィックの手がイーヴさんの腕を捻り上げ、背後へ押さえつける。

「痛っ、痛てて……! ど、どうかお許しを……!」

必死の懇願にも、ヴィックの瞳は氷のように冷たい。

「ならぬ! 誰であろうと、アンヌに危害を加える者を私は決して許さない!」

駆けつけた警備兵により、イーヴさんは縛り上げられ、連行されていく。

その背を見送る私の胸は締めつけられた。

「ねえ、ヴィック。イーヴさんを……許してあげて。」

「アンヌ!」

ヴィックは振り返り、怒りを押し殺した声で叫ぶ。

「君は、この男に殺されかけたんだぞ! なぜそんなことが言える!?」

私は小さく首を振った。

「それでも……この国を想うあまりの行いだったはず。憎しみだけで斬りかかってきたわけではないのよ。」

慈しむような私の言葉に、ヴィックは言い返せず、苦悩の表情で唇を噛んだ。
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